クリスマスイヴだよ

 

クリスマス前夜

人によっては様々な過ごし方があるであろう

働く者もいればサンタを待ち望む子供も居、いつもと変わらない生活を送る者もいる

 

「ねぇハット、こんな時間に何処へいくつもり?」

時間は夜の八時を回った時、キミドは靴を履こうとするハットを呼び止める

ハットは振り向くと、依頼が入ったんだと少し笑いながら返した

 

「むー…じゃあついて行ってもいいかしら?」

キミドは少し疑い深く彼に迫る、ハットは少し悩む

 

「来てもいいが、多分一緒に働かされると思うぞ」

そう言われるがキミドはむしろ面白そうと言い彼についていくことにした

 

しばらくすると大きな町に辿り着く

そこは過度な装飾がされておりクリスマス一色という感じだった。

ハットは地図を見ながら目的の場所まで歩く

 

そこに着くと少し大きな建物があった。ハットは中に入って行く

キミドも追いかけて中に入ると周りには若い男性と女性が集まっている

 

「よぉ!久しぶりだな、ハット」

人ごみの中から一人のガタイのいい男性がハットに寄って来る

ハットより少し老け顔だがかなり会話は弾んでいるようであった

するとその男性はキミドの存在に気が付いた

 

「ん?…その女性も手伝いなのか?」

キミドは何の手伝いかと首を傾げるがハットは彼女の返答を待たずにあぁと返事をした

人手は足りてるんだが…と男性は言いつつハットと共に奥の部屋に案内する

そこは小さな待合室のような部屋である

 

ハットは中に入ると椅子に座りくつろぐ

キミドも座るがどことなくぎこちなさが表れていた

 

「で、何の仕事をするか聞いてなかったわね」

キミドが少し怒りっぽくハットに問い詰める、するとハットは彼女を宥めながら

ロッカーに手を掛ける、開けるとそこには赤い服が入っていた

 

「ま、まさかこれって」

思わず手に取る、それは正しくサンタの着る赤い服である

そしてこの仕事の内容をハットから明かされる

 

「そんなバカみたいな依頼も来るのね…」

「まぁな。如何せん何でも引き受けるがコンセプトだからな」

 

依頼の内容は深夜に町に住む子供の家に入り込み事前に親から預かったプレゼントを

こっそりと置いていくというものだった

正しくこの服装に合った仕事である、因みに日給は、5万!

 

「あの集まってた人達も同じ仕事をするの?」

「まぁ半分はそうだろう、だが別の人達はまた別の仕事で此処にきているんだよ」

どういうこと、と彼女は首を傾げる

 

ハットの説明によると集まっていた人は似たような職業らしく

この時期に増える犯罪を事前に防ぐための警備に集められたらしい

 

「まぁここは治安が結構悪いからな」

先ほどハットと話していた男性がドアを開け、中に入りながら言う

思わず本人の目の前なのにこの人誰?とハットに聞いてしまう

 

「おっと、確かに自己紹介はしておくべきだな。俺の名前はゲイツ

謂わばここのオーナーだ」

「されたら返さないとね…私はキミド、まぁ魔術師みたいなものよ」

魔術も魔法もロクには出来ないがいきなり影だと言うわけにもいかなく彼女は嘘をつく

 

「…ま、別にいいか」

キミドの表情を見て彼は何かを感じたようだがとくには気に留めてなかった

 

「あっそうだハット、急に人手が足りなくなっちまったんだが大丈夫か?」

ゲイツはキミドをチラッと見る

キミドは大丈夫よと答える

すると彼は安堵するが、再び大事な問題を思い出した

 

「…どうだ?」

更衣中の彼女に向かってハットが仕切り越しに話しかける

「き…きついわねこれ」

着替えて出てくるものの用意された服はサイズがあって無く、胸のボタンがはじけ飛びそうになる

 

「も、もうだめぇ!」

一つのボタンがはじけ飛ぶ

空いた隙間からは彼女の豊満な胸の谷間が伺える

 

「こりゃ無理そうだな」

ゲイツは自身の額に直撃したボタンを手に取りながらそう言った

キミドは諦めきれないらしく部屋の明かりを消すように指示する

 

灯りを消してしばらくの時間がたった

 

「もういいわよ~」

灯りをつけるとそこには黒いサンタコスを着たキミドが居た

胸も窮屈ではなさそうだ

 

「うむ、色はともかくこれで大丈夫そうだな」

ゲイツからの合格サインも出る、キミドはほっと安心した

その様子を見てハットは不思議に思った

 

 

そして深夜、ゲイツからプレゼントの入った袋と地図を二人は渡される

それぞれ別の区間を任されており、二人は外に出るとそれぞれの担当場所に行くのであった

 

 

必死に働き、気が付くと空が少し明るくなっていた

キミドが戻るとまずゲイツが出迎えてくれた

 

「おっ!どうやらやることはやったみたいだな」

空になった袋を見てゲイツは満足そうにキミドの肩を叩く

時計を確認するともう5時は回っていた

 

「ところでハットは?」

周りを見るも人は二人以外誰もいない

 

「あいつなら先に帰ったぞ?」

それを聞くとキミドも慌てて帰ろうとする

 

「ところでキミド」

肩をガシっと力強く掴まれる。振り返ると疑い深い目で彼女を見つめていた

「お前さん…実は魔法なんて使えないんだろ?」

図星を突かれるも彼女は平静を作り、嘘を貫き通す

 

「そうか…なんかすまんな、どうやら俺の勘違いだったようだ」

そういうとゲイツは彼女を掴んでいた手を離す

キミドは急ぎ足で逃げるように町を去った

 

 

「ふぅ…ただいま」

ハットの住む家にまで辿り着くと中の明かりは消えている

合鍵を使い、中に入り灯りをつけるとベッドで眠っているハットの姿が目に入る

 

「…全くもう仕方ないんだから」

灯りを消し、サンタの服装のまま同じベッドに入り込み添い寝をするような形になる

明日起きたらあのゲイツのことと言い色々問い詰めてやろうと思っていると、いつの間にか彼女も眠っていた

 

 

翌朝

 

「ん~…もう朝か」

ハットが目覚め、起き上がろうとすると彼に抱き着いている者に気が付く

背中に当たる柔らかく温かい感触と彼女の吐息が再び彼を眠りに落とす

 

再び起きた時にはキミドにこっぴどく怒られるのであったとさ

 

 

おわり