太古の封印 Ⅱ

 

遥か昔、まだ人もその祖先も誕生していなかったこの星に住むものが居た

 

彼らはその姿と人と変わらない知能を持つことから棒人間と呼ばれる

 

今と変わらない文明を築き上げてきたにも関わらず彼らは突然滅んだ

 

いや、神によって滅ぼされたのだ

 

キミドはそう語った

 

「棒人間…聞いたことはある」

博士は興味深いと眼鏡をかけなおす

歴史にもそのような種族の存在は確認されている

だが彼らは隕石の衝突により絶滅したと歴史では記されていた

 

それを踏まえた上で彼女たちは話を進めていく

 

「彼らには抗う力があった」

「…定められた運命にか」

 

キミドの話によると棒人間には強大な力を持つ王なる存在が複数いたらしい

その他にも神に匹敵する能力を持つ者も存在したとか

 

「でもなんでそんなことがわかるんだ?」

博士が疑問を持つ、今までにそんな事が載っている古文書は世に出たことは無かった

「…なんでかしらね」

あまりにも拍子抜けな返答に博士はずっこける

 

「ただ…何所かで聞いた記憶があるのよね…」

唇に指を当て考えるがそれを思い出せることはなく話も仮定から進展しなかった

 

ぐーぐーと横でハットがいびきを掻きながら寝ていた、勿論座ったまま

二人は呆れてため息を漏らす

 

「この前盗まれた古文書とかまさしくそれだったのかも知れないな」

博士はこのタイミングの良さを怪しく見た

そしてふとあることを思い出し、古い箱を開け薄くぼろい本を取り出す

そしてそれを机の上に置く

 

「これも同じ博士から譲り受けたものなんだが…何かわかるか?」

「因みにその友人って?」

本を開きながら博士に問う、本の文字はかすれている以前に理解できなかった

 

「未開の谷の近くの森に小屋を建てて住んでいる探検家兼研究者だよ、最近連絡が取れないのが少し気になるが…ところで解読は出来るか?」

「まぁ無理ね…あんたはどうなの?」

そう言いハットを叩き起こす

 

「んにゃ…まぁ出来るよ~」

どう見ても寝ぼけていたがダメもとで本を手渡す

彼は受け取りページをめくる、文字を流し読みすると彼女らに目を合わせる

 

「日記みたいだぜ」

彼は真剣な表情をしていた

そして内容を次々と伝えていく

 

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あいつは一体何者なんだ…!まるで歯が立たない…

各地の が次々と殺されていく…しかもあの姿はかつての  そのもの

もう残っている同族は残り少ない。クソが!

 

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あれはやはり終焉の使者だったのか

  の…裁きなのだろうか

最後の一人になってしまったが最後まで俺は…

 

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日記は掠れた部分が多く、まともに読める部分はここしかなかった

 

 

「…ところでこの歴史が何か関係あるのか?」

ハットが本をパタンとしまうとキミドが確信を持ったように答える

 

「ハット、あそこでローブの男ともう一つ何かあったのが見えたわよね?」

「あ、あぁ…よく見えなかったが…ってまさか!?」

 

キミドが察したハットに頷く

この日記に記された終焉の使者というものが現世に蘇った可能性があるという事である

 

「よくそんなに少ない情報からそこまで導き出せたね…流石」

聞きなれない声が博士の座っていた席からする

そこにはあの時のローブの男が抵抗する博士の口を押え立っていた

 

「いつの間に!?」

ハットが銃を構える、男は全く動じず口が裂けるくらいにニヤついていた

不気味に思いながらも銃口は男に向けたままの状態を保つ

 

「しばらくこの御方は借りていきますよ、ハットさん…そして」

 

男が言い終わる前にハットは発砲する

銃弾は当たることなく男の後ろを通過していった

気が付くと既に男は研究所の出口まで移動していた

 

 

「クソ!…」

ハットはすぐに追いかけようとしたがそこには行く手を阻むものが居た

 

灰色の頭に赤い目、更に十字架を模したようなマーカーが頬の部分に刻まれている

姿は棒人間なれどそれは異質な雰囲気を発している物だった

 

「pppppp........」

機械音のようなものを発すると二人に向かって眼差しだけ動かす

 

威圧感に屈しそうになりながらも二人は武器を構える

 

「…戦闘開始…ターゲットを破壊する」

一瞬の出来事だった、それは宣言すると腕を鋭い刀のように変形させ

防ぐ隙も与えずキミドを真っ二つに切り裂いた

 

音を立てて地面に倒れる彼女の体

そしてその刃はハットにも向かう

 

キィン!

 

ナイフで防いだと思ったがナイフもろとも彼の右腕は斬りとばされた

痛さに耐えきれず倒れこむと棒人間?は刀から銃のようなものに変える

 

そして倒れている二人に向け、空間からエネルギーのようなものを溜める

 

「それくらいでいいよ、ゼロ…君が壊れてしまっては元も子もないからね」

ローブの男が静止に入るとゼロと呼ばれる物は腕をもとの形に戻す

そして彼の元に戻り静かに目を閉じる

 

「これでわかったかい?…もう僕の邪魔はしない方が身のためだよ」

 

そう言い残すと男はその場を去った

 

 

 

しばらく時間がたった。もう周りは暗くなっていた

 

ハットは起き上がった、そしてあることに気が付いた

とばされたはずの腕が元に戻っていたのだ

 

「酷くやられたわね…私たち」

隣ではキミドが体操座りをしながらうつむいていた

 

あれは夢だったのか…?彼はそう思っていた

だがあたりに飛び散った彼の血がそこで起きたことが現実であったことを裏付けていた

 

「お前真っ二つになったのになんで生きてるんだ…」

彼も座り込む、すると彼女は荒く縫ってある背中を彼に見せた

 

「影という性質上…この程度じゃ死ぬことはないわ…痛いけど」

その言葉にはどこか悲愴感があった

 

どうやら分裂した影の体を糸を使って無理やりくっつけたらしい

普段なら再生するらしいが今回に限っては出来なかったようだ

 

「私はあんたのその回復力の方が不思議よ…」

ハットは腕を動かす、痛みもなく違和感もない

確かに再生能力は備わっていたもののここまで強いものじゃなかった

彼は転がっている斬りとばされた腕を手に取り不思議に思った

 

 

「…これからどうする?」

「とりあえず私についたあんたの血を落としたいわ」

よく見ると彼女は血まみれだった、だがハットも同様に血で汚れていた

 

「確かにまずはそれが先だな…」

それから無駄に広い研究所内を探し続けると風呂場を見つけた

その時替えの服がないことに気が付き自宅に戻ることにした

だが彼にとってそれはただの口実に過ぎず元から自宅で風呂に入る予定だった

 

「入らないの?」

キミドが立ち去ろうとするハットに気が付き呼びかける

事情を言い立ち去るがなぜか彼女もついてきた

 

「…別についてくる必要は無いぞ?」

彼女からの返答はなく気が付くと足音も消えていた

 

「ふっ…それでいいんだよ」

振り返り誰もいないことを確認すると再び前を向く

すると目の前には血だらけの女性が笑いながら立っていた

 

彼は腰を抜かし尻餅を付くとその女性は笑い転げた

よく見るとそいつはキミドだった

 

「あはは♪やっぱりからかいがいがあるわよあんた」

笑い続ける彼女にムッとした表情になるがそのまま彼は家に向かう

しばらくすると彼女が追いかけてくる

 

出来れば来てほしくはなかったなと思いつつ彼は家に到着する

 

改めて振り返ると今度はきちんと彼女は居た

ため息をつきながらも鍵を開ける。真っ暗な部屋の電気をつける

 

「お先にどうぞ」

場所をおしえるとハットは寝っ転がりながらキミドに言った

 

「…覗かないでよ?」

キミドが服の上から自身の恥部を隠すようにしながら風呂場に向かう

「別にみねーから安心しろって」

ハットは切れ気味に大声で言いそのまま目をつむる

 

 

しばらくすると血が落ち綺麗になった彼女が出てきた

俺は確認すると立ち上がるとタンスから替えの服装を取り出し風呂場に向かう

 

「絶対に覗くなよ…!」

その際に凄みをかけてまで彼女に警告をした

彼女は適当な返事をする。

 

だが… 

 

「覗くなと言われて覗かないやつなんて普通はいないわよ」

ハットの姿が見えなくなって彼女は悪戯に笑う

そして影に隠れとこそこそと脱衣所に向かう

 

乱雑に脱ぎ捨てられた服を見つけるが帽子はそこにはなかった

風呂場の中からは水が流れる音がする

まさかと思いつつ彼女は扉を思いっきり開けた

 

彼女が彼の姿を確認する前に顔に桶が飛んでくる

キミドは面喰い倒れる、立ち上がり湯船に浸かっている彼を見る

思った通り彼は結んでいた髪は解いていたが帽子を被ったまま風呂に入っていた

 

「やっぱ来ると思ったよ」

 

喋る間も与えず彼女に水を掛ける

普通ならこの状況で引き上げるだろうとハットは思っていた

 

「なんで風呂の中で帽子を被っているのか分からないけど…奪うのみ!」

完全に誤算だったらしい

彼女は濡れながらも徐々に近づく

まずいと思ったのか彼は急いで上がり彼女を払いのけて服よりも先に帽子を被る

 

「は…速い!」

今まで見たこともなかった早業であった

だが彼は頭隠して股隠さずな状態であった

彼女が視線を下に下げるとそれに気が付き急いでパンツを履く

 

 

「全く…滅茶苦茶だなお前」

「えへへ…」

ハットはあれから一発拳骨をキミドに与えた

中身が見られてなかったからこれでチャラらしい

 

「なんでそんなに見られたくないのよ」

彼女は帽子に手を掛けようとするがパシッと叩かれる

 

「どうしてもだ、そういうお前だって裸は見られたくないだろ?」

「別にあんたなら…♪」

そういうと彼女は服に手を掛け脱ごうとする

 

「…もういい」

彼は呆れて物も言えなかった

そして彼女とは反対方向を向き黙り込む

 

 

「…えいっ」

「あっ」

帽子が取られると異様に盛り上がった髪の毛が姿を現す

 

「…わかっただろ、俺がなんで見せたくないのかが…っておまっ…」

 

彼女はその髪の毛を引っ張る、彼は慌てて抑える

彼が抵抗するように暴れると彼女も若干引き気味になる

その隙を見計らって彼は飛び掛かる

 

ハットに馬乗りになられたキミドは帽子を取られまいと持っている手を必死にずらす

 

それを必死に目で追いながら掴もうとするがこれがうまくいかなかった

ふと見ると彼の髪の毛の隙間から少し何かが出ていることに彼女は気が付いた

よく見ようとしたがそれは眩しく光り直視することは出来なかった

 

「あっ…」

帽子が彼の手に戻る、この時彼は気が付いていなかったが

彼の左手は彼女の胸を押し潰していた

 

「全く……」

帽子を右手で深く被ると彼は左手に感じる柔らかい感触に気が付く

恐る恐る目を左手に向ける

 

「…♡」

彼女はとろけた目でハットのことを見つめる。

彼は慌てて手を離す、彼女はゆっくり起き上がると手をワキワキさせながら近づく

 

押し倒し両腕をしっかりと押さえる、そして帽子の鍔を口に咥える。そしてそっと外す

露わになった髪の毛をワシャワシャと探るように掻きまわす

 

「やめ…ん…」

こつんと何かに当たる感覚が彼女にした

それと同時に小さく喘ぐような裏声が彼から発せられた

 

少しの間が空く、ハットは恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた

キミドも興奮が収まったのかそんな彼に帽子を被せる

結局ハットの帽子の中には何があるのかは分からず仕舞いだった

だがキミドにとっては色々と満足出来る結果が得れた

 

 

二人は就寝の準備をする、キミドがベッドで寝てハットが床で寝る

ベッドは二人が入るくらいの大きさはあったものの身の安全を考えて彼はこうした

 

「ふふ、おやすみなさい♪」

その言葉を境に彼女から言葉を発することはなく

静かになった部屋に彼女の微かな寝息がするだけだった

 

「…寝ないと持たないな」

明日に備えて目を瞑る、だが全く眠くならなかった

やはり昼寝したのが原因だろうか、それとも興奮しているのだろうか

 

ハットは起き上がり夜風に当たりに外に出る

 

「ふぅ…」

壁にもたれかかる、空を見上げると雲一つない綺麗な星空が広がっていた

 

「あのときもこんな感じだったかな…」

同じような星空を彼は見たことがあった

全てを失った少年のあの頃と同じ空色だ

 

らしくもなくしばらく過去のことを思い返していたがやがて彼は欠伸をした

再び部屋に戻ると彼は横になる、そして眠りに就いた

 

 

 

~翌朝~

 

昨日と同じような巨大な揺れと爆音によって彼らは起こされた

 

 

続く