あるクリスマスの話 2

この作品にはよその子要素があります

 

 

ー前回のあらすじー

友人たちと集まって鍋をしていたがうっかり寝てしまいとんでもない悪夢を見てしまった雷人、そして謎のクリスマスプレゼントソード

 

ー本編ー

 

箱の中に入ってた不思議な形の剣を俺(霧雨雷人)は手に取った

不思議なことにあまり重くなかった

「……誰だ…我の眠りを妨げる不届き者は」

誰かが語り掛けてきた

「ハット?何か聞こえたか?」

「うん?何にも聞こえてないがどうした」

ハットじゃないとするとさっきのは一体誰の声だったんだ?

 

『…ほう、お前には我の声が聞こえるということか』

…まさかこの剣が俺に語り掛けているのか!?

『その通り、我は剣神…この剣そのものだ』

 

俺は戸惑いながらもこの剣について聞いた

『…我はもう一眠りする、知りたくば我が封印されていた箱の中を探すことだ』

そう言うと剣の声は聞こえなくなった

 

俺は箱の中を探り、一枚の紙を見つけた

その紙にはこう書いてあった

 

神剣(レプリカ)

 

レプリカ?…つまり模造品ということか

俺は紙を読み続けていった

内容を要略すると

・模造品だが強度は本物と同じ

・本物とは違い人を斬ることが出来ない

・邪悪なるものを絶つ力に特化している

・一部を除く能力を受けない

 

 

なるほど、レプリカと言えど侮れない性能だな…だがどうやったら刃が出るんだ?

俺はとりあえずぶんぶん振ってみた

 

「……大丈夫か雷人?」

「え?…あ、あぁ」

ハットが心配そうに声をかけてきた

俺は自分のした行為を見直して返事をした

 

ハットはまじまじと俺の持つ剣を見ていた

特に八角形の穴を

「なぁ雷人、この穴何か入りそう…入りそうじゃないか?」

「…確かに、そうすれば刃が出てくれるのかな」

俺は穴をなぞるように観察する

…この形どっかで見たことあるような気がするぞ

答えに近づいた気がした

 

だがそれが何なのかははっきりしなかった

 

ピンポーンとまたインターホンが鳴った

「今日は来客が多いな」

「普段は全く人が来ないのにな!ははは」

ハットは上機嫌で対応しに行った、どうせ悪戯か何かだろと俺は思っていた

 

ドォンと爆発音がしたと共にハットが正面を向けこちらに吹き飛ばされてきた

俺は受け止め、前方を確認した

そこには黒く、ドロドロと溶け出している人型の何かが立っていた

その者の手からは煙が出ていたのでさっきの爆発音はこいつの仕業なのであっただろう

 

「お前…《影》か?」

俺はハットを近くに寝かせるようにおいて近づきながらそう問いかけた

そいつは何も理解できて無いようなに何も動かなかった

 

ある程度距離を詰めたところで相手がピクリと反応した、俺は神剣のレプリカを構える

 

そして相手の手の甲がこちらに向けられた

俺は攻撃の瞬間をじっと集中しながら待つ

相手の手の甲が黒く光った瞬間こちらに向かって鋭く黒い槍のようなものが放たれた

 

俺はそれを剣で弾いた、するとそれはふっと消えた

距離を瞬間的に詰め剣を思いっきり縦に振り上げ相手を吹き飛ばす

 

「ちょっと場所を変えさせてもらうぜ」

俺は外に吹き飛ばされた影?を追いかけた

 

家から少し離れた広間で影?を見つけた、やはり何も反応がないところを見るとダメージは通っていないらしい

…するとやはり刃が出ていないこの剣じゃだめか

「なら…これならどうだ!」

バチバチと身体の周りに電気のオーラが引き立ってくる

 

相手はこの変化に気が付いたのかさっきと同じ構えをしてくる

「だが遅い!」

俺はさっきと同じように一気に距離を詰め裏側に回る

剣で叩きつけて溜めた電撃を槍上にして放つ

 

それは確かにそいつを貫いた

 

「ふぅ…久々にやるとやっぱなれないな…」

俺はそいつから距離を離すと肩を鳴らした

 

ビュンッ っと音がしたとき勝手に剣が動き背中を攻撃から守った

「!?」

俺は何が起きたのかわからず振り返った、そこには体に穴が開いたにも関わらず平気そうな奴の姿があった

 

「へ…聞いてないなぁ、影はここまでタフじゃなかったぜ?」

俺は再度剣を構えた、こうなればもう一度好きを突いて…今度は広範囲の電撃をお見舞いしてやるぜ

俺はさっき以上に強力な電気のオーラを纏った

さっきまでの構えはしてこなかった、それどころか近づいても特に何もしかけてくるわけではなくじっとしていた

 

「…じゃあな」

俺は電撃の太いレーザーを至近距離で放ち、バラバラに分解した

 

 

 

「おーい!」

家の方からハットが走ってきた、どうやらそんなに深い怪我でもなかったようだ

「にしてもハット、お前こんなやつに後れを取るほど腕が鈍っていたとはな」

「まぁ平和ボケしてたのは否めない」

ハットは死骸を探しているような素振りを見せた

 

俺は黙って下の黒い破片を指さした、まだ若干動いていた

 

「…お前が倒したってのはこれか?」

ハットが神妙な顔をして訪ねてきた、俺は首を縦に振った

「違う!俺をやったのはこいつじゃねぇ!」

 

ハットが警戒するように辺りを見渡す

俺も注意深く気配を探る

 

 

「…何も感じないな、お前はどうだ?ハット」

「同じく、誰もいないな」

一旦緊張が解ける

だがハットを襲ったやつが他にいるとしたら誰だろうか…影…といえばあいつしかいないがそうなるとハットが知っていないのも変な話だ

 

「なぁお前を襲ったやつの特徴は?」

「妙な服装をした男だったな、構える暇もなくやられた」

「はぁ…」

なんというか、こう聞くと間抜けな話だ

「というよりは…構えられなかったというべきかな?」

「どういうことだ?」

俺はその言い方が気になって質問した

 

「なるほど…つまり対峙した時から指先一本たりとも動かせなかったと」

「あぁ、お前も気を付けた方がいい」

行動制限系の能力…なのかな、それは対策さえ練れれば何とかなるが逆にしなければ

一方的になる能力

対策を聞いてみたが「よくわかんない」だそうだ

 

ハットはさっき俺が指した黒い欠片を拾い観察していた

「こいつは…影」

欠片が砂のように崩れて風に流されていく

ハットは残っていたひとかけらを小さなシリンダーのようなものの中に入れた

 

「ハットにはわかるのか?」

「僕の知り合いに影の魔女が居てね」

「あぁなるほどね」

影っぽさがなんとなくわかるってわけかと自分を納得させた

 

 

 

俺とハットはあれから博士のいる研究所に向かうことになった

あの影が妙な男と関係あるはずだからこの影について調べてみようというわけらしい

 

研究所に着く頃にはお昼になっていた

ぐぅ~とお腹が鳴る音が二人のお腹から聞こえた

 

「早くこの影渡して飯でも食おうぜ」

「あぁ…」

俺とハットは研究所に入っていった、だがこの時彼らを覗く人影が居たとは気付くはずがなかった

 

 

「霧雨雷人…ふふ、楽しみだぞ、貴様を葬るそのときがなぁ!」

黒い修道服を着た青年は二人を見て笑いながらどこかへ消えていった

まるで二人の行き先を分かりきったかのように

 

 

つづく